昨日と同じ今日。 今日と同じ明日。 世界は繰り返し時を刻み、変わらないように見えた。 駒鳥坂高校に通う少女・姫城由乃の日々もまた、同じように続いていくはずだった。 目下の悩みといえば、所属している軽音部が部員不足によって廃部になりそうなことくらいで。 その日もまた、部長の加々知陽太と共に取り留めのないミーティングをしてから、下校するだけ。 それだけのはずだったのに――彼女は見つけてしまった。道端に蹲る血濡れた赤い少女を。 助けようと駆け寄る姫城の心臓は”何か”に刺し貫かれ、彼女の意識は暗転する。 平和だった街を脅かす連続殺人事件。暗躍する、死んだはずの人間。 世界はすでに変貌していた。彼女の知らないところで、手の施しようがないほどに。