昨日と同じ今日。今日と同じ明日。 それを望むことが、世界の秩序に反することになったとしたら。 とあるレネゲイド事件に巻き込まれ、一度は死亡したはずの少年・石井洋介。 自分は、果たして死ぬ前の自分と、同一と言えるのか。 記憶を引き継いだ化け物が、石井洋介のフリをしているだけなのではないか。 そんな惑いを抱えながらイリーガルとして活動をする彼のもとに、クルーズ船警護の任務が舞い込んだ。 戦闘が発生しながらも、なんとか任務は達成された、かに思えたが。 偶然のエンジントラブルにより、クルーズ船はとある離島の近海で座礁する。 乗客の誘導などを済ませた石井が島へ上陸すると、浜辺に不審な木箱が流れ着いているのを発見する。 中を確認すると、そこには――真っ白な少女が詰め込まれていた。 深き湖の如く青い瞳を無垢に瞬かせ、少女は問う。 「はろー、はろー、おげんきですか」 「ここはどこで、あなたはだれで。そして、わたしは、だれですか?」 同時刻、石井と同じくクルーズ船の警護にあたっていたエージェント・青柳笙吾もまた、浜辺へ降り立っていた。 騒がしさが一旦落ち着き、波打ち際に目をやると、そこに一人の男性が倒れていることに気づく。 駆け寄り助け起こした彼の顔は――5年前に死亡したバディである、三鼓黄一そのひとだった。 それは、あるいは世界を変貌させてしまう望みかもしれない。 それでも、と願うことは、果たして罪だろうか。